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そして、辺りは静まった。
樹は屋上のドアを開けようとした。
…が、屋上のドアは鍵が掛かっていて開かなかった。
「出られないのか…」
樹は踵を返し、階段を下り始めた。
取り合えず、一通り見たので帰ることにした。
「あっ!転校生発見~!!」
そう言って、何故か嬉しそうに階段を駆け上ってくるクラスメイト。
今朝、話しかけてきた男子生徒…確か、真部武と言っていた。
「転校生なの?こんな半端な時期に?」
武を追い掛けてきた見知らぬ女子生徒が、そう言って樹を見る。
樹は暫し無言で武を見ていたが、話し掛ける話題も見付からず、無視する事にして歩き出した。
後から思えば、普通に別れの挨拶をすれば良かったのだが、今の樹は其処まで気が回らなかった。
「うわっ!スルーだよ!?瑞穂!!」
「態度悪…」
瑞穂と呼ばれた女子が、不満そうに言う。
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