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武と瑞穂はギョッとした。
女の霊が樹の目の前にいたのだ。
「うわあぁっ!?」
「目を合わせちゃ駄目だってば!」
目を合わせ、お互いにお互いの存在を認識する事…それは憑かれる事とイコールであった。
「…自分は小野樹と言う」
樹はお構い無しに、女の霊に言う。
「自己紹介すんなよ!?」
武が樹に怒鳴る。
《皆道連れにしてやる!!私だけ死ぬなんて間違ってるもの!そうでしょう!?》
女の霊が叫ぶ。
街灯の電球が弾け飛んだ。
《呪ってやる!殺してやる!死ね!死ね!死ね死ね死ね死ね…》
瑞穂が耳を押さえて、その場に座り込む。
「…質が悪いな」
樹は紫色の包みをほどき、刀を抜いた。
武は驚き、思わず後退る。
《なっ…ぎゃあぁああぁっ!?》
女の霊の悲鳴を聞き、瑞穂が顔を上げた。
見れば、樹が女の霊を一刀両断して、霊は消滅していく所であった。
「へ…?」
瑞穂は茫然としている。
「な…何したぁ!?」
武が叫んだ。
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