同じ景色

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樹が刀を収めながら、二人を見た。 「これは本物じゃない」 「いや、それも気になるけど、そうじゃなくて!!」 「幽霊…斬った?」 武と瑞穂は訝しげに樹を見る。 「斬った。憑かれるのは面倒なのだろう?自分も怨霊の類いは好きじゃない。煩いからな」 樹は平然として言う。 「凄いじゃん!自分で幽霊退治出来るなんて!!」 武が興奮して言った。 「幽霊に関しては良く話すのね。無口と言うより、口下手なのかしら」 瑞穂は冷静さを取り戻し、樹に微笑みかける。 「第一印象撤回。気に入ったわ」 瑞穂が手を差し出した。 「浜口瑞穂よ」 瑞穂は握手を求めているのだ。 だが、樹は新たな人間関係に躊躇う。 「仲間が増えたな」 武が樹の手を取り、瑞穂と握手させた。 「………」 樹は無言で二人を見つめた。 「小野…樹と言う」 「らしいわね」 そう言って、瑞穂はくすりと笑った。
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