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見知らぬ場所で、少女は目を覚ました。
小学二年生の梨花は、自分の身に起きていることを、理解出来なかった。
ロープで椅子に縛り付けられ、身動き出来ない。
目の前に、知らない男が三人いて、此方を見ている。
梨花はパニックを起こした。
「煩いな!これだから、ガキは嫌いなんだよ!」
「子供の方が拐いやすいって言ったのは誰だよ?」
男達が笑う。
梨花は誘拐されたのだと理解した。
恐怖が込み上げてくる。
突然、硝子が割れる音がした。
男達が飛び上がって驚き、音の方を揃って見る。
侵入してきた人物を見て、男達が怪訝な顔をした。
誰もが警官かと思った侵入者は、中学生くらいの少年だったのだ。
春先の今頃に、白いロングコートを着て、髪には赤や緑の飾りを付けていた。
紫色の細長い布袋を持っている。
「ふむ…。白石梨花さんで間違いないだろうか?」
少年は梨花に問う。
梨花は呆然としながらも頷いた。
「何だ!お前は!?」
男が叫ぶ。
「自分は小野樹と言う。間違い無いだろうが、一応聞いておこう。貴方達は誘拐犯だな?」
「だったら何なんだ!?」
男が拳銃を構えた。
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