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それを見て、樹はため息をつく。
「荒事は避けたいのだかな…」
「煩いっ!!」
男が引き金を引いた。
弾丸が樹に向かって放たれる。
…が、樹は紙一重でそれを避けた。
「なっ…!?」
男は絶句した。
樹は駆ける。
素早い動きに、男達の目は樹の姿を追えなかった。
一人の腹部を、持っていた包みで打つ。
「ぐげぇっ」
呻く男を振り返った男に、回し蹴りを食らわし、残った男の顎を包みで打ち上げた。
「…しまったな。拘束するものが無い…」
倒れた三人の男を見ながら、樹は呟いた。
そして思い至り、梨花を拘束していた縄を使って、三人を縛った。
「さて…取り合えず、此処を出ようか」
そう言って、何事も無かったように歩き出す。
梨花は不安ながらも、頼るものも無く、樹の後を追い掛けた。
そして、たまたま見付けた電話ボックスを見て、樹が梨花を振り返った。
「自宅の電話番号は分かるだろうか?」
「うん…」
梨花が頷くと、樹は手持ちの小銭を幾つか入れた。
「押して貰えるか?」
梨花は自宅の番号を押した。
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