想いし魂

4/11
前へ
/124ページ
次へ
暫しの呼び出し音。 『…もしもし』 向こうから緊張した声が聞こえた。 「白石梨花さんのお宅だろうか?」 『はい…そうです』 ビクビクしているのが伝わってくる。 まさか、誘拐犯だと思われてるのか? 声変わりもしてない中学生の相手に? 幾らなんでも、それは傷付く。 「梨花さんは無事だ。迎えを寄越してはもらえないだろうか?」 『…?あの…?』 何だか、困惑している。 「あー…面倒だから、警察に変わってもらえないだろうか?」 『いえ!警察なんて呼んでません!』 やはり間違われてる…。 かなりショックだ。 電話の表示が減る。 …しまった。 これ以上の小銭を持っていないのだから、こんな事で時間を無駄にしてはいけなかった。 『娘と話をさせてください!』 「それは構わないが…手短に頼む」 樹は安心させるのが一番かと、梨花に受話器を渡した。 「少しだけ話したら、また替わってもらいたい」 そう言うと、梨花は頷いた。 「もしもし…」 『梨花!?大丈夫なのか!?』 「うん…大丈夫」 表示が減る。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加