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『酷いことされてないか？怪我は…怪我はしてないか？』
「…うん。うん。大丈夫」
『直ぐに助けてやるからな。もう少し待っててくれな』
「うん。待ってる」
また表示が減った。
「梨花さん…」
「あ…はい」
梨花は受話器を樹に返した。
『梨花？梨花！？』
「会話は帰ってからで良いだろう？先に言った通りに直ぐに…」
表示が零になり、切れてしまった。
樹は無言で、受話器を置く。
「…無様だなぁ」
そして、ため息混じりに呟いた。
「え？」
「いや。独り言だ」
警察が来ていたなら、電話の逆探知でこの場所を分かってもらえるかも知れないが…
本当に呼んで無かった場合は、交番を探すしかない。
それはかなり面倒だ。
「取り合えず、迎えを待ってみようか」
樹は言った。
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