想いし魂

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築地と樹のやり取りを見ていた新米刑事の富田厚志が、先輩の女刑事の飛高弥生に問う。 「あの子は一体、何者なんですか?」 「彼?小野樹くんよ。会うのはこれで何度目かしら…。築地さんのお気に入りなの」 飛高は言った。 「守川中学の三年生よ。ちょっと人間関係ぶきっちょだけど…其処が可愛いと私は思うの」 「はぁ。中学生が何だってこんな事に?全く分からないんですが」 「彼、霊能力者なのよ。幽霊に頼まれて色々やってるらしいわ。それがたまに、警察も関わるような事件だったりするんですって」 「はあ??霊能力?幽霊に頼まれて?」 富田が首を傾げた。 「ええ。信じ難い話だけど本当よ。実際に目の辺りにしちゃった事もあるし…」 飛高が苦笑する。 「はあ…?」 富田はやはり分からない。 ただ、築地が樹を気に入っているのは、目に見えて明白であった。
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