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「あんた何様!?春名が優しいからって、好き勝手言ってんじゃないわよ!!」
律子が怒鳴った。
「…怒りは尤もだ。気を悪くしたなら、いつでも追い出してくれて構わない」
樹は刀を拾い、紫色の袋に包む。
荷物は鞄から出してすらいない。
「いつでも出て行ける」
無感情に樹は言った。
「ちょっと!あんた、春名が追い出すような非道な事すると思ってんの!?冗談じゃないわ!!」
律子が手を振り翳した。
「りっちゃん!!やめて!」
春名は慌てて、その手を掴んで止める。
「樹くんは此処にいて良いのよ。出て行かなくても良いの」
そして、樹に言った。
「でも、訳を教えて。私が嫌いなの?」
「いや…」
樹は呟いた。
「すまない。そう言う訳ではないんだ。嫌いじゃない。…ただ、人は自分のような人間を嫌うから…」
そう言って、口籠る。
「…自分のような幽霊が見える人間を、己の許容力を超えるものを、他人が受け入れられないのは当然なんだ」
樹は淡々と言う。
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