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十五歳。
中学三年生。
そうです、今年は受験の年。
教室で話されることといったらたいていが志望校とか勉強の進みぐあいとか誰がどこを受験するだのしないだの。それからちょっとオカルトチックなお守りのことくらい。
――なんで中学校生活の最後がこんなんなんでしょう?
問題集とノートを交互に見ながら私はため息をつく。
「聖、勉強進んでる?」
ポンと肩を叩かれた。見ると律がニカニカと笑っている。
「ボチボチデンナー」
やる気なく答えて私はノートに目を落とす。受験関係の会話なんて頭が痛くなるだけだからしたくないし、律がふってくる話題と言ったらたいていがあのことだ。
「そっかぁ。あんまり進んでないんだね」
律は言って、私のノートを覗き込んできた。
「あ、ここ、ケアレスミス」
そう言って問題を指差す。確かに単純な計算ミスをしている。
「大丈夫? ケアレスミスは結構怖いから気を付けて」
先生みたいにそう言う律。私は内心警戒しながら、
「うん、そーだね。ありがと」
と礼を言った。
律の方こそ他人にかまけている暇はあるの? とは思っても口には出さない。なぜなら……。
「ねぇ、聖さぁ、お守りほしくない?」
ほらきた。何人かの女子がチラリとこっちを見る。
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