14人が本棚に入れています
本棚に追加
「他校の友達からもらったんだけどさ。私、それのおかげで、もう勉強が快調で快調で……」
私に対してこの話をするのは今回でもう三回目だ。以前の二回とも、いらないとはっきり言ったはずなのに。
「ごめんねー。私はそれいらない」
律から指摘された問題を直しながら言う。え、と声を漏らす律。
「でも、お守りって言ってもただの白い花なんだよ?」
「うん、いらない」
「でもでも、ただ白い花を自分の部屋に飾るだけで、勉強がスムーズになるんだよ?」
「いらないって」
「でもっ!」
律はなおも食い下がろうとする。
私は勢いよく立ち上がった。
「いらないいらないいらない!」
驚いた表情の律を睨み付ける。
「何回言ったらわかるの?」
「で、でもね」
「いらない」
それだけ言ってストンと座り、問題集とノートをのせた机に目を向ける。頭の上で律がゴニョゴニョと何か言っているけれど、無視。誰かが小さく口笛を吹いた。ぱらぱらと拍手も聞こえる。困っているのはみんな一緒なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!