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私は再び走りだした。
足が笑っているが気にしている場合じゃない。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」
声が急激に近づいてくる。千春がこっちに走ってきているのだ。足音がする。
私は立ち止まってしまった。さっきより激しく足が笑っているのは、久し振りに走って疲れてしまったからというだけではない。
千春が叫びながらこっちへ走ってくる。
「あっ、ち、ちはっ」
動転してしまって言葉がうまく出てこない私を素通りして、そのままクラスの方へと走って行ってしまう。
ぼんやりとその背中を見送って、立ち尽くす私。
どれくらいそうしていたのか、ふと我に返り、律のことを思い出す。私は体育館へと向かうことにした。
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