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瀬田 雅と出会ってから一ヵ月が過ぎようとしていた。
僕は、あの日から毎日毎日彼女の事ばかり考えていた。
「はぁぁぁ~…」
「どした?テスト、そんなに悪かったか?」
ため息をつく僕に友成がヘラヘラと話し掛けてくる。
「トモさぁ、こないだの女の子とは知り合いなのか?」
またか、という顔で友成は、
「だから知らねぇっつってんだろ?んなに好きなのかよ?」
「だってかわいいだろ?」
「いや、知花の方がかわいいな。」
こいつに聞いたのが間違いだった…
そんなに気になるなら、と友成は大野に聞いて瀬田 雅の事を調べてくれた。
「あの子、不登校らしいぞ、小学の途中から学校行ってねぇんだってよ。」
屋上で煙草を吸いながら友成が言った。
へぇ~と軽く流してみた。
「まぁ、今時不登校なんて珍しくもねぇけどな。」
その通りだった。
僕らの中学校でも学年に一人は必ずいるものだった。
学校や友達に馴染めないヤツ、
イジメにあったヤツ、
自分から殻に閉じこもったヤツ…
来なければ来ないで別に問題ないのだ。
誰かが困る訳でも、傷つく訳でもない。
まして、死ぬ訳じゃぁ…
そんな時、ふと瀬田 雅の言葉が浮かんだ。
(いらないならちょうだい)か…
僕は口にくわえていた白い棒を足で踏み消して、屋上を降りていった。
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