屋上~1

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瀬田 雅と出会ってから一ヵ月が過ぎようとしていた。 僕は、あの日から毎日毎日彼女の事ばかり考えていた。 「はぁぁぁ~…」 「どした?テスト、そんなに悪かったか?」 ため息をつく僕に友成がヘラヘラと話し掛けてくる。 「トモさぁ、こないだの女の子とは知り合いなのか?」 またか、という顔で友成は、 「だから知らねぇっつってんだろ?んなに好きなのかよ?」 「だってかわいいだろ?」 「いや、知花の方がかわいいな。」 こいつに聞いたのが間違いだった… そんなに気になるなら、と友成は大野に聞いて瀬田 雅の事を調べてくれた。 「あの子、不登校らしいぞ、小学の途中から学校行ってねぇんだってよ。」 屋上で煙草を吸いながら友成が言った。 へぇ~と軽く流してみた。 「まぁ、今時不登校なんて珍しくもねぇけどな。」 その通りだった。 僕らの中学校でも学年に一人は必ずいるものだった。 学校や友達に馴染めないヤツ、 イジメにあったヤツ、 自分から殻に閉じこもったヤツ… 来なければ来ないで別に問題ないのだ。 誰かが困る訳でも、傷つく訳でもない。 まして、死ぬ訳じゃぁ… そんな時、ふと瀬田 雅の言葉が浮かんだ。 (いらないならちょうだい)か… 僕は口にくわえていた白い棒を足で踏み消して、屋上を降りていった。
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