153人が本棚に入れています
本棚に追加
目の前には大きく病院があった。
僕は、もう一度あの女の子に逢いたくて、この病院に来ていた。
ここには大野の姉貴が働いている。
きっと彼女の事も聞けるはずだ。そう思って来たのだ。
と言ったものの、大野の姉貴がどこにいるのか解らない…
とりあえず、売店のおばちゃんに聞いてみる事にした。
「あの~ここの看護士で大野 由花さんって人、どこに行ったら会えますか?」
僕の問いに振り返ったのはおばちゃんではなかった。
もっと若くてかわいい、というか、瀬田 雅だった。
「うぇ~?!ねゃんで(なんで)キミが?!」
咬んだ…また咬んだ…
出会い頭に二度も咬むと、さすがに凹んだ。
「あら、お客さん来たの?」
そう言って奥から出てきたのは、今度こそ売店のおばちゃんだった。
「じゃぁ私行くね。」
おばちゃんにそう言うと瀬田 雅は、まるで僕なんていないかのように素通りしてしまった。
僕はすぐに追い掛けようとしたけれど、売店のおばちゃんに捕まり話し掛けられてしまった。
「あんた、雅ちゃんの友達?」
おばちゃんの質問に少し迷ったが、
「そうッス。」
と答えた。
まぁ、成り行きとはいえ一度は遊んだんだ。友達って言っても間違いじゃないだろう。なんて自分に言い聞かせていると、
「そう、今日はあの子のお見舞い?」
おばちゃんの質問にハテナマークを浮かべていると、
「あら?違うの?」
と不審がられてきたので、
「あぁ、そうなんスよ、いやちょっと病室わかんなくなっちゃって…」
と誤魔化すと、親切に病室を教えてくれた。
おばちゃんにお礼をいい、教えてもらった病室に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!