屋上~2

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病院の屋上からは、川原が見える。 僕はふと気が付いた。 (あの土手、こないだ一緒に歩いた場所じゃぁ…) 彼女に喫煙の現場を見られてから、随分時間が経った気がする。 10分と言われても頷けるし、1時間と言われても納得すると思う。 けれど実際には、ほんの1、2分しか経っていなかった… 今、僕らは鉄柵に寄り掛かり屋上からの景色を眺めていた。 互いに目を合わせる事も無く、話す事も無く… (おかしいなぁ…この子に逢いたくて来たはずなのに、今一緒にいるのがツライなぁ…この前はあんなに楽しかったのに…)      ふと、隣を見ると彼女は遠くを見ていた。 川原より、 その先にある公園より、 ぼんやり見える街より… (あの向こうは…海か?) いくら目を凝らしても、見える事のない海を、彼女は見つめているようだった。 僕は彼女にかける声を必死に探した。 「この間はゴメン。」 …掘り返したくない。 「海、行きたいの?」 …見つめてるのが海じゃなかったら? 「天気いいね。」 …無難すぎるなぁ。 「…髪切った?」 タモさんかよ… 全然ダメだ。うまく話そうとするほど、メッキがハゲそうだ…
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