153人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、お前あの子と付き合ってんの?」
道場に向かって歩いている時に、友成がそんな事を言った。
「は?そんなの…」
(待てよ、オレ達って付き合ってんのか?)
今更だが、僕は彼女に告白などしていない。
そんな勇気もないし、第一彼女と仲良くなれて、それだけで幸せだった。
何より、もし告白してフラれたりしたら…
考えたくもない。
けれど、僕はいつの間にか雅の事を彼女と思っていたのかもしれない。
何度かデートっぽい事もしたし…
それくらいか?
友成の言葉で我に返った。
「なんだ、付き合ってねぇのか。デートしたって聞いたからオレはてっきり付き合ってんのかと思った。」
「うっ…いや、付き合ってはねぇけどよ…」
自分の勘違いなのだが、改めて気付かされると、多少傷ついた。
少しして重大な事気が付いた。
「おい!聞いたって誰からだよ?」
友成は「デートしたって聞いたから」と言った。
つまり、僕が雅に会っている事を誰かから聞いたに違いない。
「え?由花さん。」
しまった…
筒抜けコースだった…
最初のコメントを投稿しよう!