幸福~1

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道場のドアを開ける。 独特のニオイがする。 部屋のほぼ中央には、円状の俵。 左奥には丸太が地面から伸びている。 その手前には、錆付いたダンベルやバーベルだど。 部屋の右側は少し高くなっていて、畳がしいてある。 ここが僕らの部室だ。 僕は相撲部だ。 しかし、誰にそう言っても信じてもらえない。 当たり前と言えば当たり前だ。 中学の頃の僕の体重は、一番ある時で54キロだった。 周りから見ると、とても相撲という体型ではないらしい。 親戚のおばちゃんは、親に無理矢理やらされていると思ったらしく、「可哀想に」と何度も言っていた。 けど、無理矢理なんかじゃなかった。 どちらかと言うと、僕が無理矢理入った感じだった。 小学校から続けてきた相撲を投げ出したくなかった。 そしてもっともっと強くなりたかった… 「部活の事、あの子に話したのか?」 友成がまた痛い事を聞いてきた。 「ま、まぁな…一応はな…」 一応、話した。 「何部?」って聞かれたから、「格闘技」って… 嘘は付いてない! 少し大げさに言ってみただけだ…
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