幸福~1

5/6
前へ
/148ページ
次へ
「バカだな…で、彼女はなんて?」 「へぇ~、って…」 着替え途中だった友成は、腹を抱えて笑いだした。 「それ、おめぇに興味ねぇんじゃん?」 悔しかったけど、言い返せなかった。 言い返せなかったので、友成に蹴りをいれてやった。 僕らがそんなゴタゴタをしているうちに、他の部員もやって来て、部活が始まった。 家に帰ると友成との会話を思い出した。 「オレらって…ただの友達なのかぁ…」 疑問系ともとれる独り言。 手っ取り早いのは雅に直接聞く事だ。 オレらって付き合ってるよな?って。 聞けるはずが無い。 否定されて終わりだ。 いや、もしかしたら笑われるかもしれない。 それっきり連絡取れなくなるかも… 「なぁぁぁぁ!!」 頭を掻きながら、苦悩する。 僕の悪い癖だった。 物事を悪い方へ悪い方へ考える。 そのくせ、本当は心のどこかで期待しているのだった。 「よし!」 決意のこめ、携帯を手に取る。 「大丈夫だ、デート(っぽい事)だってしてるし。」 指が通話ボタンに近づく。 「嫌われちゃいない、嫌われちゃいない…」 自分に言い聞かせて携帯のボタンを押す。 …『新規メール作成』 つくづく根性無しなオレ…
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

153人が本棚に入れています
本棚に追加