幸福~1

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結局、昨日は電話どころか、メールでも肝心な事を聞けず、世間話で終わってしまった。 「はぁぁぁぁぁ~…」 昼休みのざわめきの中、いつもより深いため息が出る。 隣の机に目をやると、友成と大野がバカップルを発揮していた。 大野なんて別のクラスのくせに、わざわざ友成の所まで来てイチャつきやがる。 「室内温度上げてんじゃねぇタコ。」 隣の机を軽く蹴りながら嫌味を言ってみる。 しかし、そんな嫌味さえ嬉しいのか、バカップルはヘラヘラ笑っている。 さすがに相手してられないので、一人でブラブラする事にした。 校内には何組かカップルがいた。 僕は羨ましさからイライラしていた。 (昨日トモがいらねぇ事言うから…) 心の中で悪態をつきながら、他に居場所が無い事を知り教室に戻った。 教室では、まだバカップルが地球温暖化に貢献していた。 いい加減呆れていたが、大野の顔を見てふと思った。 (大野、幸せそうに笑ってんなぁ…) 思えば、友成と話してる時の大野は、いつも本当に幸せそうに笑っていた。 この二人は確かにバカップルだけど、別れたりしないでほしいな… 二人の笑顔を見て僕はそう思った。 「あ、ビビリ君!ちょうど昨日のお前の話してたんだ。」 友成がそういうと、今度は僕を見ながら二人で笑いだした。 前言撤回、早く別れやがれこのバカップル…
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