幸福~2

3/6
前へ
/148ページ
次へ
「笑顔を見た事ねぇ?何回もデートしててか?」 「…うん。」 「おもしろい話とかして、笑ったりしないの?」 「あいつ、基本的に気持ち表に出さねぇし、笑ってもなんか引っ掛かってんだよ…」 雅はいつも、どこか遠くを見ていた。 きっと、僕の知らない事を抱えているのかもしれない。 大野のように幸せそうに笑わないのは、僕といてもそんな気持ちにならないからだろう… 「お、おい!暗いぞ!?…そうだ!こんな作戦はどうだ?」 友成はそう言うと、マイナス思考にどっぷりハマっていた僕に耳打ちをした。 「はぁぁ?」 友成の作戦に不満がる僕だったが、自分ではいい考えも浮かばず、仕方なくのる事にした。 僕は、帰り際の二人を呼び止めると大切な話をした。 「雅の事は、誰にも言うなよ?お前ら以外には絶対に知られたくねぇんだ。オレが好きなのは今まで通り、今野って事でよろしく。」 二人には嘘の噂を流してもらっていた。 中学生という年代は、人の恋愛話が大好きなものだ。 そしてありもしない噂が流れ、当人達が苦しめられる。 それを心配した僕は、自分から嘘の噂を流してもらっていた。 僕は、沢山のクラスメート達より、知り合って間もない一人の女の子を選んだのだった…
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

153人が本棚に入れています
本棚に追加