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「誕生日いつ?」
僕の突然の問いに、雅はしばらく経ってから答えた。
「あっ!20日、7月20日!来月だぁ。」
彼女は誕生日を本気で忘れていた。
雅は小学校4年生の始めから入退院を繰り返していて、誕生日どころではなかったらしい。
だから、誕生日そのものを忘れていたそうだ。
「なんで誕生日なんて聞くの?」
川原を歩いていた僕らは、近くにあったベンチに座る事にした。
「いや、そういえば雅の事あんま知らねぇなぁと思って…」
作戦に欠かせない!とは言えない…
落ち着かない僕を、彼女はジッと見てきた。
「えっ?!なに?変な事言ったか?」
恥ずかしくなった僕は雅から目を逸らすしかなかった。
「別に…。あ、ねぇプリクラって撮った事ある?」
突然話を変え立ち上がった彼女は、一応と答えた僕を引っ張り、近くのデパートまで連れてきた。
「由花から聞いて、一回撮ってみたかったんだ。」
雅はそう言ってプリ機に入り、ぎこちなく操作している。
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