橙色~プロローグ(第一部)

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(夕焼けに見えるのかって?そりゃオレンジ色だし…オレンジ色だし…いや、どう見ても夕焼けだろ!) そんな事を思っていると、ふともう一つな事に気付いた。 (あれ?さっきオレの事、名前で言わなかったか?) 僕はなぜかその事が嬉しくて、ついそのまま、 「あれ?今、孝秋って言った?」 と聞き返した。 すると、自分の質問を下らない質問で返された彼女は、また不愉快そうな顔をした。 僕は慌てて話題を戻した。 「あ、この絵…どう見ても夕焼けだろ?ほら、明日また陽が昇るために、オレンジに燃えて沈んでくとこじゃないか?」 この頃、僕は夕焼けだとか虹だとか雪だとか…そんな自然の風景が好きだった。 小学生の時は、虹の根元に宝物があると思っているほどだった。 だから、この時もポスターの絵を見て、こんな言い回しをしたんだ。 僕の言葉を聞いた彼女は、少し驚いた表情をするとまた小さく笑った。
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