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「来週からテストあってさぁ、中学入ったばっかなのにやってらんないよね?マジ死にてぇ。」
この時僕は、特に気にせず「死にたい」と言った。
確かに僕くらいの年齢の人達は深い意味も無く、「死ぬ」とか「死ね」という言葉を使っていた。
僕も「普通」に言ったつもりだった。
「死にたいの?」
彼女は、映画を見ていた時のあの表情だった。
「孝秋は死にたいの?」
「え?いや、普通に言っただけじゃん?本当に死にてぇ訳じゃ…」
慌てて説明する僕が言い終わるより先に、
「死ぬのに普通も異常も無いでしょ?いらないのなら私にちょうだいよ…」
最後の方は、小さな声で、だけどはっきりそう言った。
僕は、言われた言葉の意味を探しながら、立ち尽くしていた。
それから彼女は、何も言わずに僕の前から消えていたんだ。
立ち尽くしいる僕は、電車の時間がくるまで、瀬田 雅の事ばかり考えていた。
こうして、僕は雅と出会った…
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