二十歳。彼女なし。今の俺。

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 そんな大学の理学部物理科。俺はその二年生だ。高校の頃、宇宙に興味があった。神秘に満ち溢れた、宇宙が憧れだった。物理科を選んだ理由は主にそれだ。しかし、現実に待ち受けていた物理科の内容は、当然といえば当然だが、宇宙とはさして関係もない運動の話ばかり。難解なニュートンの運動方程式をたて、それを解いて物体の運動を導き出す作業。その繰り返しだ。宇宙を学ぶための基礎をこの学科で学ぶわけだ。  勉強もむずい。ついて行くのすらままならない程むずい。勉強の内容がむずいからテストもむずい。だから、単位が危うい。留年のピンチ。大げさじゃなく、卒業の危機。そんなありふれた問題と、俺は日々面している。  勿論、そんな悩みばかりじゃない。恋の悩みとか、友人関係とか、バイトでの悩みとか、一人暮らしのこととか。とにかくいろいろ。身の回りの全てが悩みと言ってもいい。それほど、俺は悩んでいる。最近は特に、恋の悩みとか。  大学生活は、基本的に暇だ。ありすぎて困る自由な時間。それを上手く使える人は充実した日々を送っているのだろうが、多分、俺みたいに下手に使っている人が多いだろう。全然充実してない。
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