二十歳。彼女なし。今の俺。

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 夏休みだって二ヶ月もあるのだ。高校生が聞いたら目が輝くだろう話だが、実際その夏休みを過ごせば分かる。暇過ぎる。学校に行っている時でさえ暇と感じるのだ。何にもなさすぎて、暇過ぎて死ねる。あれもこれもやりたいと思っていたのに、いざそんな立場になると何もやる気が起きない。虚無感が俺を支配する。そうするとだんだん病んでくる。一種の鬱(うつ)状態だ。それを抜け出すのに一ヶ月かかった。これは全部、去年の話だ。  暇、暇、と連呼してはいるが、笑いとしては楽しい。周りの野郎供は、一緒にいてくそ面白い。飲みとかでは暴れまくりだ。騒いで、迷惑かけて、色々やらかして、そんで腹抱えながら思いっきり笑う。いろいろ薄い毎日だけど、充実とは少しニュアンスは違うが、毎日楽しい。馬鹿なことばっかりやるのは、なんだかんだ楽しい。  青春。そんな真っ直ぐで青臭い響きとはズレているが、大学生なりの俺の青春。少し汚らしい、それでいて黄色い笑いが溢れた、少し遅れた大学生の青春。  部活の最後の総体とか、体育祭とか文化祭とか、何かでっかいことがあるわけじゃないけど、それでも毎日が笑いながら過ごせる日々。最後は、あんなこともあったな、とか言い合って笑い、そして泣ける友人たち。
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