例えるならば

4/6
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
アルカディアの風景を見渡しているセイランの目が、ふと何かに釘付けにされた。 さらっと流れる大地の髪の色。 空と自然を調和したかの様な色鮮やかな瞳。 さして雲雀のような声で囁く少女だった。 少女はアルカディアの子供達と仲良く鬼ごっこをしていた。 うふふ、あははと笑う少女はセイランにとって、とても眩しく感じた。 どてっ―。 草原に躓き、少女は転けた。 『大丈夫?』と駆け寄る子供達に少女はニッコリ笑いかけた。 何も無い場所なのに。 「ぷっ」 くすくすと言う笑い声に少女が気付いた。 「セイラン様!」 子供達に別れを告げ、そう駆け寄ってくる少女は新宇宙女王アンジェリーク。 「見ていたんですか?」 セイランが返事をする間もなくアンジェリークは側に寄って来た。 「そうだよ。キミは本当に凄いね。」 セイランが返事をするとアンジェリークは『何がだろう?』と言う顔をした。 「ふふ。だってあんな何も無い所でキミは転けたんだよ?何て言うか、凄いとしか言いようないよ。」 何を言われているのか理解したアンジェリークはハッとして顔が一気に赤面した。 少し皮肉っぽい。 アンジェリークは顔をぷくっと膨らませた。 その顔を見ると再びセイランはぷっと笑った。 「あはは。キミは本当に見てて面白いよ。で、キミは一体何をしていたんだい?」 ちらっと顔を見ると、アンジェリークもセイランの顔を見た。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!