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人間の足元には一人の騎士がいた。
だか、下半身がなく、残っている上半身からも腸が飛び出している姿はなお痛ましい。
普通の人間なら下半身がなくなっている時点で死んでいるはずだか、この騎士は生きている。
おおかた、魔法で命を繋いでいるのだろう。
「こ……の…化け…物……が」
騎士が最後の力を振り絞って足を両手で掴む。
刹那…
ーサァァァー
銀色の騎士の周りを風が通り抜ける。
その風に混じって赤い霧が流れていく。
風が止んだ時には、銀色の騎士の周りには何もなかった。
あるのは真っ赤に染まった絨毯…。
銀色の騎士は何事もなかったようにゆっくりと歩きだす。
一歩…
また一歩
走ることも、休むこともなく同じ歩調、同じ速度で進む。
まるで…獲物を追い詰める死神のように……。
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