77人が本棚に入れています
本棚に追加
「玲奈…」
それ以上の言葉が見付からずに
小さく玲奈の名前を呼ぶ。
きっと玲奈は私の想像を絶する以上に
今まで生きてきた中で
様々な絶望に襲われ
幾度となく自分の運命に疲れ果てた事だろう。
だけどそれらを自らで克服し
こんなにも、思いやりのある
人間として、誰からも誉められる程に
逞しく、素晴らしい女性になれたのだろう。
最初から強い人間など何処にも居ない。
玲奈は私に本当の強さの意味を教えてくれた。
「私ね、院長先生にお願いされてなくても
麻衣の事、放っておけなかったと思うの。
だからこんなにも麻衣が
生きる気力を取り戻してくれて
本当に心から嬉しいよ。」
そう満面の笑顔で言われて
自分のあまりの情けなさが身に染みた。
本来こんな命に関わる大病を抱えても
他人の事を気にかける余裕がある人なんて
きっと、玲奈くらいだろう。
最初のコメントを投稿しよう!