episode11

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久しぶりの家族揃っての食事。 だけど、両親にはその前に どうしても言わなければいけない。 「あのね…お父さん、お母さん… 話があるの。」 少し照れ臭いけれど 気力を振り絞って告げようとする。 「麻衣、話って…一体どうしたの?」 母は不思議そうな顔をしながら尋ねる。 「…ごめんなさい… 私…折角産んでくれて 大切に育てて来て貰ったのに あんな馬鹿な真似をして 病院にも毎日お見舞い来てくれて…。 迷惑かけて本当にごめんなさい…」 こんなに素直に両親へ心底謝るなんて 多分この時が初めてだった。 そして先程銀行で下ろして来た札束を そっと両親の目の前に置く。 「こんな額じゃ足りないかもしれないけど… どうしても、自分の入院費は払いたいの。 どうか受け取って下さい…。」 そのお金はバイトで稼いで コツコツ貯めていたものだった。 18になったら即車の免許を取って 車を買おうと思って貯めていた 私の全財産だ。
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