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「……馬鹿だな。
麻衣、このお金は受け取れないよ。
お金なんて、どうでもいいんだ。
麻衣が助かって
また前向きに生きようとしてくれるだけで
それだけで、もう何も言う事はないよ。
そのお金は自分の為に使いなさい。
さぁご飯にしよう!!」
父は私が差し出したお金を突き返し
優しい優しい笑顔でそう述べる。
母は、泣いている。
「迷惑なんてかけられてないわよ。
死ぬ程心配はしたけどね。
麻衣はお金の事なんて気にしないの。
お父さんの言う通り
私達は麻衣が生きていてくれたら
もうそれでいいの。」
なんて慈悲深い両親…。
私はこんな両親の元に産まれる事が出来て
どんなに幸せな事なのだろう。
だけどこのお金は
絶対に受け取って貰わないと
なんだか立つ瀬すらない。
どうしても納得がいかずに俯く私に
母は無理矢理お箸を握らせる。
「さぁ麻衣、遠慮せず食べなさい?
麻衣の大好きな物ばかりよ?」
「…うん…。いただきます…。」
観念して両親の言う通りにする。
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