episode11

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「美味しい……」 母が作ったちらし寿司を口にした途端 私はポロポロと涙を零す。 こんなにもお母さんの料理って美味しかったっけ… なんて頭の何処かで呟きながら また母の手料理を 食べる事の出来ている今の自分に 勝手に感動して涙が出ていた。 「あら、どうしたの? 麻衣、大丈夫??」 母が不思議そうに心配そうにそう言って 私にティッシュをそっと渡す。 「ごめん…本当に美味しくてつい泣いちゃった…」 …幸せは決して目には見えない所にある。 "あたりまえ"の中にある。 私は帝さえ居てくれれば 他には何も要らないと本気で思ってた。 家族も。友人も。 なんて、馬鹿だったんだろう。 私は当たり前だと思って 気付けなかった自分の幸せに 本当の意味でやっと この時気付けたみたいだ。
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