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「やる事を残して死ねる訳あるか」
「っていうか君ごときに私達が殺せるわけないよー」
口々に悪態を付くオルガと摧理。顔をしかめる所はそっくりな彼等は、やがて互いに向けて文句を付け始めた。
「別に君は死んでも良かったよ、摧理。むしろくたばれ。」
「口が悪いな。もう一度教え直した方が良いか?」
「嫌だね!君の授業は二度と受けたくない。」
「私の教えを受けれるなんて幸せ者だぞ、お前は。」
クラッツをほっといて始まる口喧嘩に、呆然としてると、背後にちりん、と鈴の音が鳴った。
「彼奴等は放っておきなよ。」
振り向けば、破けてボロボロの服を着ているにも関わらず、いつもの余裕の笑みで微笑む八鹿が立っていた。
「ねぇ、こちらに来るのはもう少し後で良いんじゃない?」
「ちょっと八鹿!今だろうと後だろうと、クラッツはこっちに来なくていいの!」
八鹿が目の前でしゃがんで喋りだすと、喧嘩中だったはずのオルガが後ろから怒鳴る。
それに肩を竦めるも、八鹿はまた口を開いた。
「兎に角、君はこちらに要らない。他の誰かが何を言おうと、俺達三人は認めないよ。」
だから、起きなさい。
ゆっくり告げられたその言葉は、染み入るように心の中へ入っていき波紋を広げた。
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