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ぱちり、覚醒する。
目に飛び込んだのは、真っ暗なあそこと反対の眩しい光。
思わず目を細めると、黄金の麦の稲穂みたいな色が視界に揺れた。
「おはよう、」
目を見開くと、反対側から蜂蜜色が飛び込んでくる。
「やっと起きたのー?遅くない?」
一歩遅れて夜空の色が。
「夢は終わったようだな。」
草原に横たわるクラッツを囲み、三人が覗き込んでいた。
夢で見ていたのと同じ、いや、それよりもっと酷い。包帯や服は血で滲んでいて、手当てされてない傷もいくつかある。
それでも、それなのに、三人は笑った。
ふぅわり、
ニッ、
ふ、
と違う表情で笑った。
「おかえり。」
そのくせ言葉は三人一緒で。
クラッツは可笑しくなって笑った。笑ったせいなのか涙が溢れた。視界が滲む。
「ねぇ、君は俺達の弟だよ。」
「可愛い可愛い唯一の弟だ。」
「誰が恨もうと傷付こうと、」
「君に言う台詞は譲らない。」
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