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「ねぇ、君新入り?」
幼さの残る青年に声をかければ、振り返った鋭い目に僅かに緊張の色が見えた。
「はい、」と震え気味の声に微笑んで、唇を開く。
そう、そこから零れるのはいつも嘘ばかり。
「ってことは私の後輩だね。よろしく」
手を差し出せば、頬を上気させた彼は素速く手を握ってきた。
「俺っ、ずっとこの教団に憧れてて…!力の祝福のもと、精一杯頑張りますっ」
そんな彼に、「そう、一緒に頑張ろうね」と明るく笑いかける。
「あ、そーだ。教団の掟を教えてあげるよ。着いて来て」
思い出したように口を開いて、ピンと人差し指を立てる。得意気に胸を反らせば、親近感か何かが湧いたのか男は笑った。
そして黒いスカートを翻せば、後ろから青年は着いて来る。
あーあ。終わっちゃった。
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