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「今回は闇の新人だったそうだな。」
いつもの執務室で、資料を片手に摧理は口を開いた。
どうやら仕事が忙しいらしい。
「そうそ、あそこは最近人数増えてきたからねー。ラッキー、って感じ?」
欠伸混じりにそう言うのはオルガ。
「そうか、」
摧理は卓上から目線を上げない。
オルガは苦笑した。
この上司は全く、何回諭しても分からないらしい。
真っ向からぶつかったって、勝ち目は少ないと言うのに。
戦争というものをまだ理解出来てないらしい。いや、理解はしているのだ。ただ、心が許せていないだけ。
自分よりも一回り以上年上のはずなのに、オルガはひとつ溜め息を吐いた。彼にバレないぐらい小さな溜め息を。
けれど、毎回毎回目の前の男を諫めるほど暇ではない。というか面倒くさい。
もともと、この男が要らん情けで己の身を滅ぼそうがオルガには関係ないのだ。
衣食住を確保してくれた事は感謝しているが、それだけだ。お世話になった分以上の事を恩返しする気はサラサラない。
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