暗き洞にて

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電流が走るような音が、結界内の淳にも聞こえる 結界が、外からの衝撃を防いでいる音だ もちろん、このままではいけないのはわかっている しかし、目の前の怪物の腕は、まるで意思を持っているかのように、結界に密着している 結界が解ければ、一瞬で淳を打ち抜くだろう しかし、一つ、不思議に思ったことがある モンスターは、腕をロケットパンチにして、また自分の体に戻すことが可能なのだろうか ローゼンクロイツの、あのロボットなら出来るだろう しかし、相手はモンスターなのだ そこまで高度な技術を持っているわけはない なら… ―――…もしかして… 一か八かの賭けが浮かんだ いけるかもしれない もちろん、失敗すればただでは済まない それでも 助ける 結界が薄れてきた ぐに、と、まるで粘土のように、結界が怪物の腕の岩の形に歪む 入りこんでくる ―――今だ! 横に跳ぶと同時に、つい一瞬前まで淳がいた所を岩が砕く 跳んだ先で、抱えてきた荷物の中から、大量の爆竹を引っ張り出す 怪物の腕が、地面を穿ったその場から、周囲を薙ぎ払うように動く だが、怪物自体との距離は変わらない 弧を描いているようにも見える ―――やっぱりだ!あれは… 一足飛びで、迫る岩を避けると、足元にあった手の平サイズの石を持つ そして、怪物との距離を詰める 案の定、射出した岩を戻すべく、腕を挙げた その瞬間、石を投げる ガチン、と超高音が鳴り、淳の投げた石が怪物にへばり付いた すると、先程まで脅威となっていた岩は沈黙する
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