暗き洞にて

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押し寄せる大量の水は、重い怪物の体をのけ反らせ、反撃の隙を与えない 「ジュン!早くそこから離れなさい!」 また、怒号が飛ぶ しかし、淳の目は怪物を見ている 「ジュン!何を」 「人だ…」 ぴく、とユーリフの耳が動く 「人だ…ユーリフ!人が中にいる!」 「なんですって!?」 ―――どういうこと…?このモンスターに捕われている…? ふと、あることを思い出す ―――…そうか…それなら…合点がいく! ユーリフは右手を上下に振り、水流を操る 水は大きくうねり、爆竹により、怪物の破損した首元へと入っていく すると、怪物の岩だらけの体のあちこちから、水が漏れている 徐々に、鉄が軋む音が聞こえてくる それが怪物の物だと気付くのに、さほど時間はかからなかった やがて、人型に近い体を形作っていた岩は、ボトボトと落ち、まるで積み木を崩したように、その場に積み上がる そして、中から気絶したのだろう、目を閉じた人が現れる 直後、ユーリフも膝から崩れる 二十歳前後の女性だ その目元や頬に、見覚えのあるペインティングがあった 女性は一度、多量の水を吐くと、仰向けに倒れた それを、淳が受け止める 「もしもし!大丈夫ですか!?」 揺さぶり、頭に触れても、何の反応もない ―――…最近、こんなのばっかりだ! 淳は女性を背負い、改めてその顔を見る やはり、と思い、ユーリフとロノに向き直る 「ねぇ、二人共、ノイスのお姉さんって、やっぱりレタナ族だよね?」 憔悴しているユーリフに代わって、ロノが前に進み出る 「はい、多分…それに、その顔の模様は…ノイスちゃんの模様にそっくりです」 ロノの意見を聞いて、淳は頷く
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