881人が本棚に入れています
本棚に追加
淳は女性を担いで、ロノがユーリフに肩を貸して、四人は洞窟から脱出した
幸い、害のあるモンスターには襲われなかった
外の草原で、適当な場所を探して、二人を寝かせる
女性の方は、先程から落ち着いた呼吸をしていたが、ユーリフは焦点の定まらない目で、空を見上げていた
息は荒く、擦ったような音の吐息が漏れる
淳が、そっと彼女の髪を撫でると、目を閉じて、息を落ち着けようと深呼吸をする
「…ジュンさん」
ロノの呼び掛けに、女性を看ている彼女を振り返る
少し切れた二の腕から、血が滴っていた
「…どうして、この人が私達を襲ったのか、教えておきます」
「え…捕まってたんじゃ…」
頭を横に振り、淳の考えを否定する
「ジュンさんは、もう、『能力』のことは知っていますよね」
頷く
「たしか、ガナト・ヴィスンの人は、一人ずつ、特殊な力を持ってるんだよね」
「はい、それは人によって、実に様々です、私やユーリフちゃんのような、『魔術特化型』、アイゼンちゃんのような、『身体能力特化型』、そして…」
ちら、と視線を落とす
その先には、先程救出した女性
「この人のような、『身体異常型』…」
「『身体異常』…って、どこが?」
文字通り、『身体異常型』は体のどこかに異常を持っている
文献の例だと、背中に翼が生えていたり、足が獣のそれだったりしたが、この女性には、特に目立った部分は無い
「目に見える異常が特徴とは限りません、この人が目覚めればわかりますよ」
そう言って、ロノは座り直した
淳も、ロノの言葉の真意を知るため、体をそちらへ向けた
最初のコメントを投稿しよう!