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ユーリフをハウスへと連れていった後、ロノが看てくれるというので、淳はジェダを連れて、彼女の家に赴く
まだ体調が万全でないため、休みを頻繁に挟んだが、日が暮れる前には着くことが出来た
ジェダとノイスが住んでいるであろう家は、同じ賃貸ながら、リヒト・レーゲンのハウスよりも、だいぶ小さかった
それに、木造で、建てられてから、ずいぶん長い年月が経っていることは容易に想像出来た
中に入ると、暖かい光が目に入る
ドアが開いた音に気付いたのだろう、テーブルの椅子に着いていた少女が、派手な音を立てて、立ち上がる
「お姉ちゃん!」
「ノイス…!」
ジェダは抱き着いてきた妹を、少し後退しつつも、しっかりと受け止める
「お姉ちゃん、お姉ちゃん…よかった…」
胸の中で泣きじゃくる妹の頭を、姉の細い手が優しく撫でる
「心配かけて…すまなかった」
「うっ…うっ…ずすっ」
鼻をすすったノイスが、ジェダの横から顔を出して、淳を見る
「…リヒト・レーゲンのお兄さん…ありがとう」
ぽつり、と感謝の言葉を口に出したノイスに倣うように、ジェダも振り返り、淳に向き直る
「俺からも、改めて礼を言う…ありがとう」
姉妹から同時に感謝の言葉を受け取って、淳は照れ臭そうに頬を掻く
「い、いやぁ…でも、無事でよかった」
笑顔で二人と握手をすると、それじゃあ、と言って、踵を返す
「…もしも」
ぴた、と足を止め、振り返る
「…必要な時は、いつでも来てくれ、出来る限り、力を貸そう」
意外な申し出に、淳は少し呆けるも、すぐに、ありがとう、と頭を下げた
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