881人が本棚に入れています
本棚に追加
/1039ページ
「ふんっ!」
ドムン、という重い音の後、狼のような風貌のモンスターが吹っ飛ぶ
それは、びくん、びくん、と痙攣し、やがて動かなくなる
「…これで全部か」
ジェダは、手に吸い付けていた鉄球を落とし、辺りを見回す
「…ジェダ、すごいね」
頬や腕に傷を付けた淳が歩み寄ってくる
「この程度なら、何の問題も無い…しかし、ジュン、おまえも倒したじゃないか」
「い、いや、たまたまだよ、頭を蹴ったら、動かなくなって…その前に、たくさん引っ掻かれたし…」
淳は自分の腕を見せて、苦笑する
「…ふ、初めてだというのに、躊躇しないんだな」
ジェダは微笑み、彼の肩を叩く
ここはラハ街道
コリュミーナ峠から、半日程歩いた所にある、バシュランとアルバシアを繋ぐ街道だ
ここに、モンスターが大量発生し、街道を通る商人達を襲う、ということで、有志のチームを集めた討伐依頼があったのだ
そこで、リヒト・レーゲンはジェダに頼み、今までまったく手を付けなかった、モンスター退治に挑んだのである
とはいえ、ユーリフはまだ動けず、ロノは他の依頼を受けていたため、仕方なく淳が駆り出された
あくまで、チームメンバーではないジェダを一人で行かせるわけにはいかなかったからだ
そして、街道でモンスター退治をして、上記の通り、今は終わったところだ
「そういえば、ジュン、牙は取ったか?」
「え、牙?」
淳が首を傾げると、ジェダは驚いたように目を見開く
「牙を抜かなければ、退治した証拠にはならないが…」
「あっ!そうか!」
すっかり忘れていた
最初のコメントを投稿しよう!