恐ろしきは光なり

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「ふんっ!」 ドムン、という重い音の後、狼のような風貌のモンスターが吹っ飛ぶ それは、びくん、びくん、と痙攣し、やがて動かなくなる 「…これで全部か」 ジェダは、手に吸い付けていた鉄球を落とし、辺りを見回す 「…ジェダ、すごいね」 頬や腕に傷を付けた淳が歩み寄ってくる 「この程度なら、何の問題も無い…しかし、ジュン、おまえも倒したじゃないか」 「い、いや、たまたまだよ、頭を蹴ったら、動かなくなって…その前に、たくさん引っ掻かれたし…」 淳は自分の腕を見せて、苦笑する 「…ふ、初めてだというのに、躊躇しないんだな」 ジェダは微笑み、彼の肩を叩く ここはラハ街道 コリュミーナ峠から、半日程歩いた所にある、バシュランとアルバシアを繋ぐ街道だ ここに、モンスターが大量発生し、街道を通る商人達を襲う、ということで、有志のチームを集めた討伐依頼があったのだ そこで、リヒト・レーゲンはジェダに頼み、今までまったく手を付けなかった、モンスター退治に挑んだのである とはいえ、ユーリフはまだ動けず、ロノは他の依頼を受けていたため、仕方なく淳が駆り出された あくまで、チームメンバーではないジェダを一人で行かせるわけにはいかなかったからだ そして、街道でモンスター退治をして、上記の通り、今は終わったところだ 「そういえば、ジュン、牙は取ったか?」 「え、牙?」 淳が首を傾げると、ジェダは驚いたように目を見開く 「牙を抜かなければ、退治した証拠にはならないが…」 「あっ!そうか!」 すっかり忘れていた
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