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「今、抜いてくるね!」
慌てて振り返った淳の肩がジェダによって掴まれる
「いや、取り忘れはもう遅い、とっくに他のチームに取られてしまっただろうな」
「あ…う…ごめん」
申し訳なく思い、頭を下げる淳の頭に、ジェダは優しく手を置く
「いや、いいだろう、初めてのモンスター退治だ、至らぬ所があるのも仕方ない」
その優しさが、淳にとっては恥ずかしかった
果敢に前に出たものの、結局足を引っ張ってしまった
ついさっき、ジェダが倒したモンスターの牙を抜き、彼女に渡す
「これじゃ、リヒト・レーゲンの報酬の取り分は、無い方がいいね…」
大変情けないことだが、まるで役に立っていない自分達が、依頼に貢献した助っ人の取り分をもらうわけにはいかない
しかし、ジェダは、いや、と胸の前で手を挙げた
「俺はおまえたちのチームの名を借りた…チームでなければ、依頼を受けれなかったからな、規約通り、俺は報酬の三分の一を貰えればいい」
「え、でも、それじゃ割に合わない…てっ」
コン、と手の甲で額を叩かれる
「俺はそういう人間だ」
にこ、と微笑んだ彼女につられ、淳も微笑む
「ありがとう、今度、一緒に退治の依頼をこなす時は、足手まといにならないようにするから」
そう言うと、ジェダは、くす、と微笑みとは違う笑いをした
「口先だけにならないよう、祈る」
「う、うん…頑張るよ…」
苦笑して、頭を掻く
「ふ…、さぁ、王都に戻ろう、徹夜の覚悟は出来ているな?」
「あ、うん」
淳は近くの岩陰に隠してあった荷物を担いだ
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