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ユーリフは自分の脇に挟んでいた体温計を取り、淳に渡す
「今計ったから、これも戻しておいて」
「…うん…」
「片付けられない女…か」
そして、すごすごと一階を片付けに
「ちょっと待って、先に私の部屋片付けて」
「…うん…」
「…片付けない女か…」
まずユーリフの部屋を片付けてから一階を片付け始める
「…俺も手伝おう」
「あ…、ありがとう」
ジェダも加勢し、一階の片付けは進む
「…ジュン」
突然、本当に突然、ジェダが声を掛けてきた
「ん?何?」
「…一つ聞きたいんだが、おまえはどうしてこのチームに入ったんだ?」
「…え?」
思わず、手を止めて彼女を振り返った
「聞く限り、おまえがチームに入る理由が見つからないんだが…」
「…そういえばそうだね」
ジェダはたたんでいたタオルに頭からずっこける
「…おい」
「いや、ジェダの言う通り、僕、特に理由が無いまま、リヒト・レーゲンに入ったんだよ」
うぅむ、と考え込む
「ロノから聞いたが、一度、城に連れていかれたようだが」
「あ、うん」
「相当に良い扱いをされたはずだ、何故そのまま王宮に保護されようとしなかった?…すまない、同じ質問をした」
崩れたタオルを直しながら、ジェダは視線を落とした
「…なんでだろう…改めて考えると、不思議だよ…」
「理由が無いわけではないだろう、いや、言いたくないなら、それで構わないが」
「…理由、かぁ…」
沈黙
「…無いのか」
「いや、あると思うけど…」
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