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「お困りか、少年」
肩を叩かれた
「!?」
「私でよければ手を貸そうか」
黒いフードにコート
出るとこは出て、引っ込んでるとこは引っ込んでる
「…え、え?」
見覚えはあるのだが、どうにも思い出せない
と、女性は急にしゃがんだ
タン
「ちっ!」
「不躾だなぁ、後ろから撃つ輩がいるのかね」
いや、後ろから撃つのがわかったのか
「…何者だ」
マントの女性の問いに、黒い女性は、ふ、と笑った
「何者だ、か、この少年がそう聞いて答えなかった女がよく言ったものだね」
パサ、と女性はフードを取る
白い、長い髪が銀色に美しく輝いている上、美人だ
「…そうか、それは悪かった、ならばもう聞かない」
「ありがたい、どの名前を名乗れば良いかわからないのでね」
淳は呆然としながら、美女を見ていた
見とれていたわけではない、ただ、不思議だった
今置かれている状況を見失うほどに
「だが、私は諸君らのことをよく知っているよ」
「!」
対峙する女性らの表情が変わる
「ウロヴォロス・オフィス…、私の記憶違いでなければ、それがチームの名だね?」
そうか否かを答えるように促す
しかし、美女は続ける
「リーダーのツァイコフ・ノーリンバーンを中心とする、ウォーガの『帝』直属のチームだろう?何故…」
再び銃が吠えたが、ちょっと頭を傾けるだけで避けた
「…こんな所で訪問者の誘拐未遂を起こすのか、私には見当もつかないのだがね?」
唇の端を持ち上げ、にぃ、と不敵に笑う彼女だったが、ツァイコフ(らしい)は鋭い表情のままだ
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