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熱湯をものともせず、淳は水をはねのける
「ロノ!大丈夫!?」
がっ、と顔をわしづかみされる
と思ったが、手が小さい
「なんちゃって」
ロノが意地悪に微笑んだ
足を見ると、出血も無くなっている
恐らく治癒魔術を使ったのだろう
「い、痛くない?大丈夫?」
「はい、大丈夫です、足は、しばらく痕が残りますけど…」
ロノはゆっくり体を起こして、手をつく
「よかった…」
安心して胸を撫で下ろす
と、辺りを見回す
あの四人がいない
どこへ行ったのか、疑問は残ったが、まず目先の疑問が解決するかもしれない
「あ、ロノ、あの人だけど…」
「はぁ!?里帰りぃ!?」
ユーリフの叫び声が響く
振り返ると、片膝を立てたユーリフが美女と向かい合っていた
「あぁ、急に故郷が恋しくなってね、美味いんだよ?地元の茶菓子は、今度食べさせてあげよう」
「…茶菓子目当て…」
ユーリフは呆れて、盛大にため息をつく
そこに、ロノを支えた淳が近づく
「ねぇ、ユーリフ…」
と呼んだ瞬間、彼女がこちらを向き、その目を鋭く細める
「あんたはいつまで鼻血出してんの!?」
ゴ、と膝の皿を思いきり殴られる
「いっ…!痛いよ!」
「うるさい!パンツの次は胸か!」
「パンツは履いているのだが…」
「あんたもうるさい!」
ぶん、とユーリフの腕が振るわれるが、美女は楽々と避ける
興奮しているユーリフでは無理かな、と思い、最初からそのつもりだったが、ロノに尋ねる
「ねぇロノ、この人、知り合い?」
「え、はい、知り合いと言うか…リヒト・レーゲンのメンバーです」
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