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「ニヒトさんって言って、私達がリヒト・レーゲンを作ってから、わりと早い時期に入ってくれたんです」
ニヒトとリヒト…狙った名前なのだろうか、言い間違えそうだ
「ふふ、少年、今ややこしい名前だな、と思わなかったか?」
「えっ!?」
つん、と額を指で突かれる
「リーダーも大人少女も、最初は私のことを、リヒト、と読んでいたよ」
ニヒトは、ちら、とユーリフを振り返り、苦笑する
ユーリフ自身は、つーん、とした態度でそっぽを向いている
「あ、でも、しばらくいなかったんですよね?どうして…」
「里帰りだよ、私だって人間だ、故郷が恋しくなっても不思議ではないだろう?」
人間なのは見てわかる
「しかし、少年とは会うのはこれで三回目、か」
「あ、そうですね、って、え?」
以前、二回も会っただろうか
だが、失礼ながら一番最近会ったのがいつだったかも覚えてない
「ところでリーダー、彼は良い人材かな?」
いきなり話題を変えた
全て自分のペースで話をしている
「はい!いい人です、お掃除、洗濯、料理、何でもやってくれます」
最初は嬉しかったが、だんだんパシリの内容になってきたので、素直に喜べない
「ふふ、よかったな、少年」
ぽんぽん、と肩を叩かれる
そういえば、ずいぶん背が高い女性だ
自分より少しだけ小さいくらいで、目線はほとんど同じだ
「ふふ、大人少女よりは大きいだろう?」
「えっ!?」
と言った直後、ユーリフの鉄拳が淳の頬を的確に打ち抜く
「な、何を…」
「私も今、目の動きでわかった」
どうしてこんなにすぐわかるのだろうか
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