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「しかし、向こうの用事を済ませて帰ってくれば、チームのピンチに遭遇してしまった…、運が良いのか悪いのか…」
やれやれ、といった様子で首を振るが、それに目頭を立てたのはユーリフだった
「どうしてそこで、かどうか、が出てくるのよ」
「ふふ、疲れるじゃないか」
―――うわぁ…
ずいぶんな言い草に、さすがの淳も呆れてしまう
「なっ…!あ、あんたって人は…!」
プルプル、とユーリフは淳を殴った拳を震わせるが、手を上げるには至らない
一方のニヒトは、未だ飄々とした態度を崩さない
「悪く思わないでくれたまえ、収穫があった」
ぴくっ、とユーリフの耳が揺れる
「収穫…?」
あぁ、とニヒトは続ける
「まず、さっきの四人…彼女らはウォーガの精鋭だ」
「それはわかります、『帝』直属なんですよね」
ロノが、先程のニヒトの台詞を思い出す
「そう、となると、彼女らの意志は『帝』の意志だ、少年の誘拐を企てるところを考えると、ウォーガが少年を欲しがっていると見える」
「えぇ、アイゼンちゃん達も来ました」
「…ほぅ、疾走少女が」
くす、と笑った
そういえば、ローゼンクロイツとは何度も衝突しているらしい
ニヒトも面識があるのだろう
「まぁ、ウォーガが乱暴な手段を用いて少年を狙う理由はわからないが、気をつけるしかないだろう」
簡単に言わないでほしい、と思った
毎度、さっきのようなチームが刺客として襲ってくるならば、淳もしかるべき考えを持つしかない
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