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「で?後は?」
ユーリフが挑発一歩手前の態度で尋ねる
が、後は、とはどういうことだろうか
「ふむ、少年、簡単なことだ」
「え?何が…」
「私はさっき、まず、と言ったな?その時点で、話題は二つ以上ある、ということになる」
なるほど、とは思うが
―――今、僕…何も言ってなかったよね…?
「さて、もう一つの話だったね、依頼だよ」
そう言った瞬間、ロノの目が輝く
「さすがニヒトさん!一時離脱していても、私達のことを考えていてくれたんですね!」
「ふふ、褒めても何も出ないよ?」
依頼を持って戻ってきた、ということだろうか
「依頼の話はハウスに帰ってからにしよう、あの古臭い匂いが恋しくてね」
ニヒトは踵を返して、ハウスの方へと向かう
どこまでもマイペースで変なことを言う人だ
「…お昼…食べてないのに…」
ロノはがっくりと肩を落とす
帰ったら何か作ってやろう、と思った時、ふとユーリフを見た
彼女は突っ立ったまま、歩いていくニヒトとロノを見つめている
「ユーリフ?どうしたの?」
「ん?…なんでもない、行くわよ」
特に何の反応もせず、ユーリフは先に行った二人の後を追う
彼女自身、目立った外傷は無く、魔術を使った反動も無いようだ
一安心して、彼女らについていく
ニヒトが持ってきた依頼というのがどんなものか気になっていた
いつの間にか、楽しみになっていた
ついさっきまで、とても危険な目に遭っていたのに、足は軽く前に進んだ
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