881人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく歩き、小さな丘を登る
既に棒のような足に、坂は厳しかったが、なんとか登り切ることが出来た
一足先に登ったニヒトが、早く来い、と促す
後続の三人がようやく丘の上に立つと、前方に大きな建造物の集まりがある
「ようやく見えたな、あれがアルバシアの首都、『センタイ』だ」
「…首都…」
なんだか、中国の歴史的建造物のようだ
遠くからでもわかる、真っ赤で巨大な建物が、城だろうか
「少年は見覚えがあるのではないか?」
急にニヒトが聞いてきた
「え?」
「現在のアルバシアの技術は、ほとんどが訪問者によってもたらされた物だ、もちろん、建築技術もセンスもな」
なるほど、と合点がいった
昔、どこかの建築家が訪問者としてガナト・ヴィスンにやってきた時、伝えられたのだろう
しかし、見覚えはたしかにあるが
「ここまでそっくりなんて…」
もはや、あれは地球のどこかの地域だ、と言っても過言ではない
「ほぅ、訪問者の少年の太鼓判が押されたか、我が国の技術もずいぶんテラ寄りだというわけだな」
「…え?」
意味不明なワードが聞こえた
「…我が国?」
「あぁ、我が国だ」
硬直
「まさか…、王様…」
「ふふ、見えるか?」
はっきり言って見えないが
と、頭をはたかれる
振り返ると、ユーリフが呆れ顔で見下ろしていた
「あんた…馬鹿でしょ?『皇(スメラギ)』はちゃんといたわよ」
「あ、そうなん…『いた』?」
『皇』というのが首脳の称号であることはわかるが、ユーリフの言い回しに疑問がある
最初のコメントを投稿しよう!