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街に入ると、地球色がさらに目に付いた
行き交う人々の服装、売られている物、それぞれに懐かしさがある
「すごい…!本当に海外旅行に来たみたいだ!」
「へぇ、そんな気分なんだ」
ユーリフが冷ややかな目でこちらを見るのは、何らかのいじめだろうか
バシュラン以外の国に来たことなどないのだから、こういう時くらいは大目に見てほしい
「ふふ、忘れるなよ少年、私達は仕事のためにここへ来たのだからな」
「まぁまぁ、いいじゃないですか!アルバシアは良いとこなんですから」
今のところ、味方はロノだけだ
それも何となく悲しいが
「さて、まずは宿を決めないとな」
「え、宿?」
お?とニヒトは意外そうな顔をする
「少年、まさか日帰りだと思っていたのか?」
「あ、いや…」
そういうことか、と理解したので、もう何も言わない
「さて質問だが」
ぴたっ、と急にニヒトが立ち止まった
淳達が首を傾げると、彼女は指を二本立てた
「安くて二人部屋の宿と、少し割高だが一人部屋の宿と、どちらがお好みかな?」
「…え?」
「お値段は?」
ロノがガマ口財布を構えて尋ねる
「二人部屋の方は一部屋1000エイ、一人部屋の方は一部屋600エイだ」
つまり、2000エイか2400エイか、だ
そこでロノがたたき出した答えは
「もちろん二人部屋です!」
「うん、二人部えぇぇぇぇぇ!?」
予想外にも程が…ないか
「ちょ、ちょっとロノ!言ってる意味わかってる!?」
当然と言えば当然だが、ユーリフが食い下がる
が、ロノの言い分も当然ながら
「安い方がいいに決まってます!」
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