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ロノの厚意を素直に受け止め、申し訳ない気持ちはありつつも、大人しく帰路につく
「いや~、今日はたくさん買えました!」
ロノはるんるん、と最後の店の紙袋を振る
「よかったわね、便利な人手が出来て」
「便利ってどういう意味?」
そんな会話をしながら、ハウスの近くまで来た
なんだか違和感がある
「あれ、あそこに誰かいるよ」
よく見ると、人がハウスのドアに寄り掛かっているようだ
依頼人だろうか
淳はロノとユーリフより一つ前に出て、その人を確認する
「…ユーリフちゃん」
「…うん、なんだか見たことあるような気がするわね」
どうやら二人の知り合いらしい
それなら、彼女らを尋ねて来たのだろうか
淳は荷物を置いて、その…白髪の女性の顔を覗き込む
目を見開いている
少しぎょっとした
「…あの…?」
目の前で手を振っても反応はない
不思議に思い、失礼ながら、彼女の口元に手をかざす
何か変だ
何かが足りない
何が足りない
「…っ!ユーリフ!ロノ!この人、息をしていない!」
「えっ!?」
ロノが目を見開いて、淳とその女性に近寄る
だが、ユーリフはその場で俯き、動かない
何事か考え込んでいるようだが
「ユーリフ!?何してるのさ!」
淳が一回吠えると、ユーリフは、はっとしたように顔を上げる
「逃げなさい!」
ユーリフの怒号の直後、淳は首を掴まれた
そしてそのまま数メートル、後ろに倒れるような姿勢のまま引きずられる
淳は一瞬呆けてから自分を掴む人を見る
「動カないでくダサい、動けバ、コノ人の首ガ飛びまス」
息をしていないはずの、白髪の女性だった
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